<2002.8.10>  完結の日
・・・快晴・・・


通り雨が車の屋根を激しく叩き出す  ”いいぞ! もっと 々 降れ・・”

あの出来事より早ひと月が過ぎようとしている そいつを狙うにはこの日を逃がすと もう年内の出会いは

叶わ無いと感じ出していた! 恵みの雨に成る事を願いながら 浅い眠りにつく・・・。


もうずっと 視線は其処から離れなかった 迷わず日陰となる

下手へとポジションを選んだ 奇しくも其処は あの日ヤツが

姿を消して行った 落ち込みの肩になる。

決定的な違いは 立ち込む流れの穏かさで 次に起きる

ドラマを思い巡らせ 足元のグリップを固める 手にするのは

戻ったばかりの”がまかつ旭仙翠5.4M硬調” を握り締め

其の先に見える流れのヨレへと 万感の思いを込め打ち込む

”さー 来い!”


”フッ・・・!”と 目印がふけ 無意識に手首が返った・・・・

”ガツン!” 強い衝撃か伝わる ”掛けた。” ヤツは一気に

下流向け走ると 対岸の落ち込み肩を回りこみ 上流へと

向かう ”キリ キリ ヒユ〜!” ラインの悲鳴に 竿は

持つかと不安に成り 思わずあの出来事で傷ついた辺りに

視線は行ってしまう。

やっと手にした戻り

画像では目立たないが婚姻色が出ている

”いいぞ行けそうだ” 強引に早めの勝負を挑んだ    腰の折り畳みタモを取り出すと 寄せに掛かる・・・

竿の張りによって簡単に浮いたヤツは 流芯に乗り手元へと寄る        其の時差し出すタモの

僅かばかり先でヤツの姿は水中に消へ 一瞬其の行き先を見失ってしまった。

竿先を見上げると 其れはあの時と同じ 沈み石の方向へと

示している  腰を下げ竿尻を握り直すと 再度 寄せ

取り込みへと移る    ”ブワッ・・!”  とヤツは浮き

寄る   寄る   寄る     ”入ったー”

其の一瞬頭の中は真っ白となった・・・・・


あの時の個体に比べると 若干小振りのようだが

薄っすら婚姻色を施した 戻りの牡で 精悍な顔付きは

私を横目で 睨み付けている。


このひと月 久しぶりに熱くなれ心地いい敗北感に浸る

自分を感じていた。

今は もう何もいらない!

何も望まない!

                             OOZEKI

山々を望む

おまけで釣れた天然遡上鮎(ミミズ餌)